尾行調査は、探偵が行う最も代表的な手法のひとつですが、「これって許可が必要なの?」「違法にならないの?」と気になるあなたの不安はもっともです。
実は、尾行自体には特別な許可は必要ありません。しかし、これは「誰でも自由にやっていい」という意味ではありません。尾行のやり方次第では、ストーカー規制法や軽犯罪法などに触れるリスクもあるため、きちんと法律を理解した上で行うことが前提です。
ここでは、探偵による尾行の法的位置づけと、あなたが知っておくべき法律との関係を、わかりやすくまとめます。
探偵の尾行に許可は必要?
結論から言うと、探偵が尾行を行うために「特別な許可」や「免許」は不要です。運転免許や探偵業届出証明書は必要ですが、「尾行の許可証」というようなものは存在しません。
ただし、探偵業を営むには「探偵業の業務の適正化に関する法律(探偵業法)」に基づき、各都道府県公安委員会に届け出をする必要があります。無届で探偵業を営むのは違法です。
そのため、尾行を合法的に行えるのは、届け出をしている正規の探偵業者だけと考えてください。
尾行で問題になりやすい法律とは?
尾行そのものが法律違反というわけではありませんが、その手法や時間、態様によっては、以下のような法律に抵触する可能性があります。
1. ストーカー規制法
同じ人に対して繰り返し尾行を行い、それが相手に「著しい不安」や「恐怖心」を与えるような場合には、ストーカー行為と見なされることがあります。
たとえば、依頼内容が「元恋人の行動を毎日追って欲しい」といった場合は、探偵が依頼を断ることもあります。
2. 軽犯罪法
「隠れて人をのぞき見ていた」「正当な理由なく他人の後をつけまわした」などの行為は、軽犯罪法の対象になることがあります。
つまり、尾行が必要以上にしつこかったり、周囲から異様に見えるようなやり方だと、警察に通報されるおそれもあるわけです。
3. 住居侵入罪(刑法130条)
尾行中に、対象者がマンションのオートロックを解除して入ったときに、無断で一緒に入る(いわゆる“すり抜け”)と住居侵入にあたる可能性があります。
探偵はこうしたケースでは、基本的に建物の外で尾行を打ち切る判断をします。
法律を守った尾行の基本原則
正規の探偵事務所は、法律に違反しないために、次のような方針で尾行を行います。
- 対象者と適切な距離感を保つ
- 尾行の必要性・正当性があることを確認したうえで実施
- 深夜・早朝の調査には慎重な判断を行う
- 明らかにプライバシーを侵害する行為は中止または報告
また、依頼主であるあなたにも、調査目的が合法であることが求められます。たとえば「浮気の証拠を押さえたい」などはOKですが、「仕返しのために調べたい」といった復讐目的はNGです。
あなたが依頼するときに気をつけること
尾行を伴う調査を依頼するときは、以下の3点を必ず確認しましょう。
- 探偵業の届け出をしている正規業者かどうか
- 調査目的や尾行手法が、契約書に明記されているか
- 何か問題が発生したときの対応方針(中止判断や報告のタイミング)
もし、あなたが「相手に近づきすぎてトラブルになるのでは…」と不安に思うなら、その気持ちを率直に相談時に伝えることも大切です。信頼できる探偵であれば、きちんと説明してくれるはずです。
まとめ:尾行は許可不要。でも「合法な範囲」で
探偵が行う尾行調査には、特別な許可は必要ありません。しかし、方法を誤ると法的トラブルにつながるリスクもあります。
そのため、尾行を依頼するあなた自身が、信頼できる探偵を見極め、契約書の内容を丁寧に確認することがとても重要です。
尾行は合法の範囲で行えば、真実に近づくための強力な手段になります。安心して任せるためにも、法律を理解して行動してくれる探偵事務所を選ぶことが、最大のリスク回避になります。